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先輩社員インタビュー

石の面白さに魅了され、
地質学を志す。

山本 和幸

2007年入社 技術本部
専門分野:地質 
専攻:地球科学

※所属部署・内容などは取材当時のものです。

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地質

小学生の頃から石が好きで、学校からの帰りに、よく石を拾ってポケットに入れていました。石を調べると、昔の地球のいろいろなことが分かるのが楽しいんです。大学でも地質学を専攻し、数ヶ月間に及ぶ長期の野外地質調査や実験室での化学分析によって過去の地球環境を復元する研究に没頭しました。海外にも強い興味があり、大学在学中に1年間休学をしてインドやチベットなどをバックパッカーで放浪。現地の人々の暮らしや文化に触れる体験をしました。その後、大学院で地質学の理学博士号を得てINPEXに入社しました。地質学は、石油・天然ガスを探したり、開発したりする際の基礎となる学問です。自身の専門性を磨きながら、海外の舞台でそれを活かしたいと願っていた私にとって、海外で数多くのプロジェクトを推進しているINPEXは、多くのチャンスが待つ、これ以上ない就職先でした。

写真2

ネガティブな結果からの、成長と気づき。

入社後すぐに担当したのが、インドネシア東部にある探鉱プロジェクトの地質評価作業です。対象とした地域では、これまで1本も井戸が掘削されておらず、手がかりになる情報も限られていました。そこで私は、インドネシア全域の地質がどのように形成されたのかを太古の昔から遡って考えながら、その地域に油ガス田が存在する可能性を探りました。しかし、1年半かけてたどり着いたのは「可能性は低い」というネガティブな結論。社内の期待・予想に反した結果で残念でしたが、その地域のポテンシャルを正しく評価するための根拠を示したことには大きな意義があります。何より、自分の頭で考えた地質のアイデア次第で、油ガス田を発見できるかもしれない探鉱の面白さを知ることができたからです。だからこそ、くじけず、より前に進もうと強く決意することができたこの経験は、私の大きな糧となっています。

写真3

逆境から奮起し、
オイルメジャーに認められる成果を手に。

2010年から5年弱、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに赴任したことも強く印象に残っています。世界でも有数の超巨大油田の一つであるザクム油田の上部層を開発している現地操業会社Zakum Development Company(ZADCO)に出向し、地質技術者として勤務。世界30ヶ国以上の出身者が3,000名以上集まる多国籍・異文化の職場環境で、オイルメジャーの一社であるエクソンモービルの技術者と一緒に仕事をする機会に恵まれました。しかし、当時は入社3年目の若手社員だったこともあり、技術的に面白い仕事をさせてもらえず、会議の準備や議事録作成などの雑用ばかり。悔しい思いで毎日を過ごしていました。そこで、既存の3次元地質モデル(油ガス田開発の基礎となる、複雑な地下の地質情報の特徴を捉えて模式化したもの)を全く新しい地質のアイデアで再構築するという技術課題を自ら発掘して自発的に取り組みました。3年がかりで成果を出し、オイルメジャーの技術者からも実績を認められ、油田開発に大きく貢献する成果として社内で採択された時は、それまでの辛かった下積み時期の努力が報われた思いがしました。現在ZADCOでは、原油生産能力を日量100万バレル(日本の一日当たりの原油消費量の約2割分に相当)まで引き上げることを目指し、洋上に4つの人工島を建設して掘削作業を行う大規模な開発計画が進行中です。自分自身のアイデアで構築した3次元地質モデルが巨大プロジェクトの開発計画を支えていることに、大きなやりがいを感じました。

写真4

見ることのできない地下深部を想像し、3次元地質モデルを描く。

数千メートルの地下深部に広がる油ガス田の地質断面は実際に目で見ることができません。手掛かりになるのは、井戸のデータや掘削時に採取したコア(地下の岩石試料)、地震探査(人工的に地震を起こして地質構造などを調べる手法)によるデータなどの断片的・間接的な情報のみです。そこで地質技術者に求められるのが、自然界の地質の複雑さをよく理解し、限られたデータに基づいて、実際にあり得る地質の姿を頭の中でイメージできる能力です。あらゆる可能性を想像し、自分が思い描く地質のイメージをモデルとして表現していくのです。柔軟な想像力を養うために、普段からなるべく多くの石や地層を見るようにしています。アブダビ赴任中も、休日を利用して5年間で延べ50日間を費やし、UAEとオマーンでの地質調査に打ち込みました。山岳地帯では、遠く離れたアブダビ沖の地下深部の油田につながる地層の断面を直接見ることができる場所もあり、それはまさに、自分が毎日オフィスで描いている3次元地質モデルの地層の積み重なりと同じでした。それが目の前に広がっているのを見た時は、とにかく感動しましたね。

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現地の人々と共に汗をかき、
人と人との信頼関係を築くことが、
国と国との信頼関係にもつながる。

UAEは日本の原油輸入量の約4分の1を占める極めて重要な輸入先であり、当社はすでに40年以上アブダビでの油田開発に携わっています。当社の大先輩は私が産まれる前から、日本から遠く離れたアブダビの地で奮闘されてきました。ZADCOで働いていると当社の先輩方の昔話を耳にする機会が多くあり、先輩方が築かれてきた信頼関係が今も現地の人々の心に刻まれていることを知りました。私たち若い世代の使命は、そのような信頼関係を維持し、さらに発展させていくことです。石油はまだまだたくさん地下に眠っており、アブダビの油田開発はきっと私の子供の世代までも続く息の長いプロジェクトとなるでしょう。私は現地の人から「若い人たちを鍛えてほしい。」とよく言われました。油田開発に単に技術や資金提供で貢献するのではなく、現地の人々と一緒に汗をかいて仕事をすることで、技術的にも人間的にもお互いに成長していける相互関係を大切にしなければならないと思います。そのような人と人との信頼関係の積み重ねが、日本とUAEの国同士の信頼関係にも発展していくのです。彼らから「日本人と一緒に働けて良かった。」と言ってもらえた時は、非常にやりがいを感じましたね。

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産学連携で日本の技術力を示し、
世界の油ガス田の探鉱・開発に貢献したい。

ZADCOでは、オイルメジャーであるエクソンモービルが、当社とは桁違いに豊富な人材を背景に技術力・組織力をアピールしながら力強くオイルビジネスを展開していく姿を目の当たりにし圧倒されました。しかしながら同時に、当社が長年培ってきた油田操業の技術や知見は、世界のオイルメジャーにも決して負けていないものがたくさんあることにも気づきました。アブダビには世界中から多くの石油関連企業が集結し、自分達のプレゼンスを高めようとしのぎを削っています。私は将来、地質に関係する仕事で日本の技術的なプレゼンスをもっと示すことができないか、とアブダビ赴任中から考えていました。そこで帰国後の現在、日本の大学が有する最先端の地質学の基礎研究の力を油田開発技術と融合させ、アブダビの油田開発で生じている地質の諸問題の解決に産学連携で取り組む試みを行っています。こうした産学連携による技術力・組織力の強化で、オイルメジャーにも負けないような仕事を現地の人々と共に推進し、アブダビだけでなく世界の油ガス田の探鉱・開発に貢献したい。それが、今後の私の大きな目標です。

休日の過ごし方

アブダビ赴任中はUAEやオマーンで地質調査に打ち込み、日本では見ることのできない様々な地質を見てきました。訪れた山岳地域での素晴らしい風景や、山奥で今も素朴な暮らしを続けている人々の姿も印象深く思い出に残っています。

休日の過ごし方

ある一日のスケジュール

  • 09:00

    技術研究所に出社、メールチェック。

  • 09:30

    コア観察室でコア箱の開封や顕微鏡観察の準備。

  • 10:00

    コア観察を開始。観察で気づいた点を、その場で同僚と議論。

  • 12:00

    昼食。

  • 13:00

    コア観察を再開。

  • 17:00

    観察結果のまとめ作業。

  • 18:00

    後片付けをし、
    帰宅。